映画・星守る犬 いわき市の美しい海岸、東松島の風景が蘇ります
梅雨の合間の曇り空。6月19日の朝です。TVではニュースワイドショーで、福島の問題があれこれ議論されています。
そんな東北の震災前の景色を、思わぬところで、しかも大スクリーンで観たのです。
それは、泣ける映画とPRされている作品・星守る犬です。(少しネタバレしてます)
キャンプ場そばの草むらの中から朽ち果てたワゴン車が見つかりますが、半年前に亡くなった中年男性の白骨死体の傍らにはなぜか最近亡くなった犬の死体があったのです。この時間的差は何を意味しているのか。遺体の埋葬処理をすることになった市職員が、残された数枚の領収書から この男性の足どりを追って旅をする。自分の生い立ちと重ねあいながら。そんなロード・ムービーです。
市職員役の玉山鉄二。阪急電車に続き、きまじめで、ぼくとつとしていて、心暖かい、素晴らしいかったなあ。
まじめに働き、家族と暖かい家庭を作ってきた男性。収入もあって、家族内の問題もあまりなかったころには、包み隠されていた妻との未熟なコミュニケーションが、不景気で職を失ったあたりから生活の前面に表れだし、最後には三行半を突き付けられます。妻は悪くありません。男性も少し不器用なだけです。しかし、その不器用さは甘えでもあります。そんな甘えに気がついたときには、もう遅いのです。
男性役に西田敏行、妻役に岸本加代子。二人の、特に妻の言葉には、厳しいも真実の・心からの叫びを感じます。
父の日でもある6月の第3日曜には、つらい内容でもありました。
妻に捨てられた男性と飼い犬だったハッピーとの東京から名寄市への最後の旅でめぐり合う人々に、余貴美子、中村獅童、温水洋一、濱田マリ、三浦友和が、らしい役・らしい存在感でからんできます。役者の個性を生かしたこのひとつひとつのエピソードが印象深いのです。ひまわりが効果的に使われているのも忘れられません。
最後 職探しもできず、病にもおかされ、有り金を使い果たし、ハッピーと選んだ道。はた目に見ると「可哀そう」になるのですが、この2人にとって実は至福の時間だったのかもしれません。単なるお涙ちょうだいにならないのが、逆に胸にせまります。
で、今回の本題ですが、立ち寄り先で いわき市の海岸、東松島の大高森が大スクリーンに現れるのです。こういう景色だったんだ、と思ったとたんに少しこみ上げてしまいました。
作品に感動し、時節柄ならではの想いがこみ上げる。上映時間2時間。客席から離れて、有楽町・日劇のスクリーンの中にいた自分を感じていました。
(写真は、Amazonのアソシエイトプログラムを利用しています。下記はAmazonへのリンクです)
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